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第3章 着手金及び報酬金の算定等 |
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第1節 民事事件 |
第8条(民事事件の着手金及び報酬金の算定基準) |
本節の着手金及び報酬金については、着手金は事件等の対象の経済的利益の額を、報酬金は委任事務処理により確保した経済的利益の額をそれぞれ基準として算定する。ただし、本規定による特段の定め又は個別契約による特段の合意がある場合は この限りでない。 |
第9条(経済的利益の額) |
1 |
経済的利益の額を算定することが可能な場合 |
㈰金銭債権(原則) |
債権総額(利息及び遅延損害金を含む) |
㈪将来の債権(例外㈪) |
債権総額から中間利息を控除した額 |
㈫継続的給付債権であって期間不定のもの(例外㈪) |
7年分の額 |
㈬賃料増減請求事件(例外㈫) |
増減額分の7年分の額 |
㈭所有権(不動産を除く) |
対象たる物の時価相当額 |
㈮詐害行為取消請求事件 |
取消請求債権額。ただし、取り消される法律行為の目的の価額が債権額に達しないときは、法律行為の目的の価額 |
㈯共有物分割請求事件 |
対象となる持分の時価相当額 |
㉀遺産分割請求事件 |
対象となる相続分の時価相当額 |
㈷遺留分減殺請求事件 |
対象となる遺留分の時価相当額 |
㉂金銭債権についての民事執行事件 |
請求債権額。ただし、執行対象物件の時価が債権額に達しないときは、執行対象物件の時価相当額(担保権設定、仮差押等の負担があるときは、その負担を考慮した額) |
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2 |
経済的利益の額を算定することが困難な場合 前項により経済的利益の額を算定することができない場合、その経済的利益は、着手金については500万円、報酬については1000万円を目安として、所属弁護士と依頼者との協議のうえ、適正な価額を決定する。 |
第10条(経済的利益の額の算定の特則) |
㈰ |
前条で算定された経済的利益の額が紛争の実態に比して明らかに大きい場合、所属弁護士は、依頼者と協議のうえ、経済的利益の額を、紛争の実態に相応するまで、減額することができる。
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㈪ |
前条で算定された経済的利益の額が次の各号の一に該当する場合、所属弁護士は、経済的利益の額を、紛争の実態又は依頼者の受ける経済的利益の額に相応するまで、増額することができる。
1 |
請求の目的が解決すべき紛争の一部であって、前条で算定された経済的利益の額が当該事件等により解決するべき紛争の実態に比して明らかに小さいとき |
2 |
紛争の解決により依頼者の受ける実質的な利益が、前条で算定された経済的利益の額に比して明らかに大きいとき。 |
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第11条(着手金) |
1 |
着手金は、経済的利益の額に照らし、それぞれ次表の範囲内において算定する(別表1「着手金早見表」参照)。ただし、着手金の最低額は100,000円とする。 |
経済的利益の額 |
報酬金 |
300万円以下の部分 |
×10%~16%以下 |
300万円超3000万円以下の部分 |
×15%以下 |
3000万円超3億円以下の部分 |
×12%以下 |
3億円を超える部分 |
×10%以下 |
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2 |
前項の着手金は、事案の内容(当事者の数、相手方の属性、事件の複雑性及び難易 性等。以下同じ)により、20%の範囲内で増額することができる。 |
3 |
民事訴訟事件につき同一弁護士が上訴審等を引き続き受任する場合、前2項の規 定にかかわらず、事件等の経済的利益の2分の1の額を目安として、着手金を適正 妥当な範囲内で減額することができる。 |
第12条(民事事件の成功報酬金) |
1 |
訴訟事件、調停事件、非訟事件、家事審判事件及び仲裁事件の成功報酬金は、本規定に特に定めのない限り、経済的利益の額を基準として、次表のとおり算定する。 |
経済的利益の額 |
報酬金 |
300万円以下の部分 |
×20%以下 |
300万円超3000万円以下の部分 |
×16%以下 |
3000万円超3億円以下の部分 |
×13%以下 |
3億円を超える部分 |
×10%以下 |
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2 |
前項の成功報酬金は、事案の内容により、20%の範囲内で増額することができる。 |
第13条(訴訟等事件の日当) |
訴訟等事件につき、第 11 条に定める着手金及び第 12 条に定める成功報酬金のほか、第 48 条の規定に基づき、日当を請求することができる。 |
第14条(示談交渉事件の特則) |
同一弁護士が、同一事件について、示談交渉事件から引き続き訴訟等その他の事件を受任するときの着手金は、本規定に特に定めのない限り、第 11 条の規定により算出した額から既に受領した着手金の額を控除することができる。 |
第15条(契約締結交渉の特則) |
1 |
示談交渉事件を除く契約締結交渉の着手金及び報酬金は、経済的利益の額を基準として、次表のとおり算定する。 |
経済的利益の額 |
着手金 |
報酬金 |
300万円以下の部分 |
×10% |
×16% |
300万円を超え3,000万円以下の部分 |
×8% |
×14% |
3,000万円を超え3億円以下の部分 |
×6% |
×11% |
3億円を超える部分 |
×5% |
×9% |
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2 |
前項の着手金及び報酬金は、事案の内容により、20%の範囲内で増減額することができる。 |
3 |
前2項の着手金は、100,000円を最低額とする。 |
第16条(督促手続事件の特則) |
1 |
督促手続事件の着手金は、経済的利益の額を基準として、次表のとおり算定する。 |
経済的利益の額 |
着手金 |
報酬金 |
300万円以下の部分 |
×10% |
×16% |
300万円を超え3,000万円以下の部分 |
×8% |
×14% |
3,000万円を超え3億円以下の部分 |
×6% |
×11% |
3億円を超える部分 |
×5% |
×9% |
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2 |
前項の着手金は、事案の内容により、20%の範囲内で増減額することができる。 |
3 |
前2項の着手金は、100,000円を最低額とする。 |
4 |
督促手続事件が訴訟に移行したときの着手金は、第 11 条の規定により算定された額と前3項の規定により算定された額との差額とする。 |
5 |
督促手続事件の報酬金は、第 12 条の規定により算定された額の2分の1とする。ただし、依頼者が金銭等の具体的な回収をしたときでなければ、これを請求するこ とができない。 |
6 |
前項ただし書の目的を達するため、民事執行事件を受任するときは、所属弁護士 は、前5項の着手金又は報酬金とは別に、民事執行事件の着手金として第 11 条第 1項の規定により算定された額の3分の1を、報酬金として第 12 条の規定により算定された額の4分の1を、それぞれ受けることができる。 |
第17条(保全事件の特則) |
1 |
仮差押及び仮処分の各命令申立事件(以下「保全命令申立事件」という)の着手金 は、第 11 条の規定により算定された額の2分の1とする。ただし、審尋又は口頭 弁論を経たときは、同条の規定により算定された額の3分の2とする。 |
2 |
知的財産事件、労働事件等、事案が重大又は複雑な事件に関しては、前項の規定 にかかわらず、第 11 条の規定に準じて着手金を受けることができる。 |
3 |
事件が重大又は複雑である場合、第 12 条の規定により算定された額の4分の1の報酬金を受けることができる。ただし、審尋又は口頭弁論を経たときは、同条の規定により算定された額の3分の1の報酬金を受けることができる。 |
4 |
第1項の手続のみにより本案の目的を達したときは、前項の規定にかかわらず、第 12 条の規定に準じて報酬金を受けることができる。 |
5 |
保全執行事件は、その執行が重大又は複雑なときに限り、保全命令申立事件とは 別に着手金及び報酬金を受けることができる。この場合は、第 18 条第1項及び第2項の規定を準用する。 |
6 |
第1項の着手金及び第2項の報酬金並びに前項の着手金及び報酬金は、本案事件と併せて受任したときでも、本案事件の着手金及び報酬金とは別に受けることができる。 |
7 |
保全命令申立事件及び保全執行事件の着手金は、200,000円を最低額とする。 |
第18条(民事執行事件等の特則) |
1 |
民事執行事件の着手金は、第 11 条の規定により算定された額の2分の1とする。 |
2 |
民事執行事件の報酬金は、第 12 条の規定により算定された額の4分の1とする。 |
3 |
民事執行事件の着手金及び報酬金は、本案事件に引き続き受任したときでも、本案事件の着手金及び報酬金とは別に受けることができる。ただし、着手金は第 11 条の規定により算定された額の3分の1とする。 |
4 |
執行停止事件の着手金は、第 11 条の規定により算定された額の2分の1とする。ただし、本案事件に引き続き受任するときは、同条の規定により算定された額の3分の1とする。 |
5 |
前項の事件が重大又は複雑なときは、第 12 条の規定により算定された額の4分の1の報酬金を受けることができる。 |
6 |
民事執行事件及び執行停止事件の着手金は、100,000円を最低額とする。 |
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